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初搾りと粕汁【酒蔵便りvol.49】

<酒蔵の様子>

湯気を吹き上げる甑(こしき)と放冷機 11月22日、最初に仕込んだ本醸造酒を搾りました。今シーズンの初搾りです。

 使用している酵母は、通称金沢酵母(協会1401号)と呼ばれるもので、リンゴのような軽やかな甘い香りを作り出します。圧搾機の布目を通して垂れ出てくる酒は、少し炭酸ガスを含み口の中で弾けるような感じがします。舌の上にフレッシュな生酒の風味が広がり、喉を越すときれいに消えていきます。良い酒ができました。
この酒は、しぼりたて生原酒、濁り酒として出荷されていきます。

写真:湯気を吹き上げる甑(こしき)と放冷機

<今月のテーマ> 粕汁の作り方

 さて、鍋物や汁など温まる料理が恋しい季節。今月は造り酒屋式料理のコツをお知らせしましょう。それは「糖化」。酒造りの過程では、麹に含まれる糖化酵素で蒸米の澱粉を糖化しています。これを料理に応用です。

 実は野菜にも糖化酵素が含まれています。それを最大限働かせることにより野菜の自然な甘さを引き出すことができるのです。

 糖化酵素が働くのに最も適した温度は58℃。ただし60℃を越えると活性を失い始めますので安全をみて50〜55℃に保つのが良いでしょう。

 酒粕の出荷が始まりましたので粕汁を例にしましょう。鍋に水を張り、出し昆布、大根、人参、あく抜きしたゴボウなど野菜、それに酒粕を入れ火に掛けます。55℃になったところで火を止め30分待ちます。それからブリや鮭のアラなど他の素材を加えて通常通り作ります。この30分の間に野菜が甘くなります。酒粕にも糖化酵素が残っていますので粕自体も細かく溶け、甘くなります。

 里芋も下ゆでする時に55℃で一旦火を止めて糖化すると甘くなります。時間に余裕がある場合はお試し下さい。

 鍋や汁物で温まり、燗酒を合わせますとダブルの効果で早く酔いがまわり、飲み過ぎることもありません。暖かく健康に冬を乗り切りたいものです。

 尚、酒粕は400g入袋300円で販売しています。昔ながらの板状の粕を切って袋に詰めただけの風味の高いものです。弊社店頭もしくは通販(post@sake-asaka.co.jpもしくはfax0743−56−2464)でどうぞ。

2008年12月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人