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大吟醸のもろみ管理と招き猫【酒蔵便りvol.51】

<酒蔵の様子>

 全国新酒鑑評会出品用大吟醸、そして純米大吟醸の仕込み作業を1月に終え、少しほっとする毎日です。

 仕込みを終えたもろみは、毎日少しずつ温度が上がって行きます。麹に含まれる糖化酵素が米の澱粉をブドウ糖に変え、酵母菌はそのブドウ塘を食べてアルコールを作り出します。酵母菌の活動は熱を生み出すからです。

 一週間ほどかけて11度くらいまで上がったところで、それ以上あがらないようにもろみを冷却し温度を一定に保ちます。香り高い大吟醸を造るには低温発酵が重要です。毎日神経質な温度管理が続いています。

 そして今月は、手塩に掛けて育てた奈良県産山田錦で醸す純米吟醸「奈良吟」に取りかかっています。庭の梅の老木のつぼみはふくらみ、日射しが明るくなってきました。近づく春を気にしながら、今の冷気を利用して酒造りが進行して行きます。

<今月のテーマ> 招き猫

ねこ 我が家には猫がいます。4年ほど前、ミャーミャーと大きな声をあげて迷い込んできたのですが、餌をやったらそのまま居着いてしまいました。

 猫が来て良いことがありました。毎週のようにネズミをつかまえてきます。そして近所の猫が出入りしなくなりました。ただ、しょっちゅう首輪をなくしてきます。時にはけがをして帰ってきます。やむなく病院に連れて行き、抗生物質の注射を打ってもらいます。一ヶ月に二回もそんなことがあり、「参ったなあ」と思っていたある日、無くした首輪が自宅続きの酒蔵の外でみつかりました。何と、この猫は他所の猫から蔵も守ってくれていたのでした。

 もう一つ良いことがありました。それは、猫好きのかたが事務所に来られると出てきて愛想を振りまくのです。猫は、猫好きの人を一瞬で見分けます。「毛並みがきれいねえ」とか声をかけていただき、なぜてもらうと「ご機嫌さん」です。事務所では弊社製品の小売りもしていますので、招き猫と評判です。

 猫は、人類が農業を始めた頃、貯蔵穀物を食べるネズミを捕ってくれるので次第に人との共生を始め、気性の荒いものが淘汰され、現在に至ったそうです。事務所のある我が家の母屋は江戸時代に建てられたもので、明治、大正に建てられた部分も含め全て木造建築です。古い建物にはネズミがつきものですから、やはり猫は有り難い存在です。ただこの猫、まだ名前がありません。「ねこ」です。

写真:ねこ

2009年2月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人