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もったいない【中国日記vol.153】

 高価な酒をテーブルにこぼしてしまいました。「もったいない」。私など、そのテーブルが清潔であることがわかっていればストローで吸うことがあります。「みっともない」。酒飲みの悲しい性(さが)です。
 日本では、コンビニやスーパーで売られる弁当類の廃棄量が世界の飢餓人口全員を救える程の量にのぼるそうですが、実にもったいないことです。今回は、中国で感じる「もったいない」がテーマです。

1.中国語で

 環境分野で初めてノーベル賞を受賞したワンガリ・マータイさんが日本語の発音のまま「MOTTAINAI」を世界に宣伝しています。世界に拡がる「もったいない」ですが、中国では漢字だけで表記しますので「MOTTAINAI」は使われていません。ただ、限られた資源を有効に使おうという世界共通の考えは浸透しつつあり、「可惜」とか「浪費」と表現されています。

2.食べ残す

 次々と出される料理。円卓上の回転板は料理の皿で埋まり、新たな皿を置く余地はありません。ところが更に運ばれてきた料理は、既に置かれた皿の縁を利用してその上に置かれます。客は満腹し、箸を出す人も減り、乾杯だけが続きます。主食が運ばれ、やがてお開き。膨大な量の料理が食べ残されます。「もったいない」。

 ホストの面子をかけて食べきれない程の量を出し、客もそれを食べ残して満足を表すのが中国の伝統です。特別な接待の席はともかく、親族など身内の宴席ではそこそこの量に抑え、残ったものは「打包」といって使い捨ての弁当箱で持ち帰るのが普通になってきました。ただ、急速に増え続けるコンビニは、日本同様弁当廃棄量を増やしています。

3.ぶつける

 信号を見ずに道路を渡る自転車、波のように交差点に押し寄せる歩行者、車の無理な右左折と強引な割り込み。最低の交通マナーは交通事故を日常的なものにしています。

 年間の死者はざっと10万人。人口は日本の10倍ですから、こんなものかと納得しがちですが、車の保有台数は日本より少ないのです。恐るべき数字です。

 負傷者も物損も同じような比率でしょうから、車一台当たり日本の10倍以上の割合で事故が起き、損害を出していることになります。数分の時間節約より安全第一。交通マナーの普及で社会損失を十分の一以下に減らすことができるはずです。「もったいない」。

4.押す

 朝の出勤時間帯、高層アパートのエレベーターは混雑します。やっと来たエレベーターが一杯で、次が来るのをいらいらしながら待つというのは日本でも見られる光景です。中国では、上向きと下向き両方のボタンを押します。上向きであれ、乗った者勝ちという発想です。全ての階でこれが行われますのでエレベーターは上下共に各階停車。時間の惜しい朝に恐るべき無駄。「もったいない」。

5.燃やす

派手に燃える高層ビル( 百元札が最も高額な紙幣なのですが、それを燃やして金満ぶりを示す遊びが広東省のお金持ちの間で流行しているそうです。今宵も高級クラブの個室に美女を集めて、コルドンブルーをがぶ飲みしながら百元札をメラメラ。「もったいない」。

 燃やすと言えば今年2月9日。この日は旧正月最初の満月、元宵節でした。街中至るところで爆竹が炸裂、煙で視界がさえぎられ、歩道には爆竹カスが赤い雪のように積もります。花火も次々と打ち上げられ、黒い燃えかすが降り注ぎます。その夜、私は営業活動で北京に居たのですが、タクシーが次々と乗車拒否。そのうち、「中央電視台が燃えて通行規制が行われている」ことが判明。禁止区域にもかかわらず花火を打ち上げて引火したらしく、ホテル棟が丸焼けです。損害額は10億元(130億円)とか。百元札で一千万枚。「あーもったいな!」。

この号終わり

写真:派手に燃える高層ビル("CHINA DAILY" FEB.10,2009)