山田錦の稲刈り【酒蔵便りvol.59】

快調に進むコンバイン 10月上旬は山田錦の刈り取り時期です。山田錦は原生品種に近く、昼の長さに反応して毎年同じ時期に出穂(しゅっすい)し、同じ時期に熟します。穂先から熟し、粒が落ち始めますので、10月中旬には刈り終えなければなりません。

 10月に入って3日まで雨。4日は少し晴れましたが田んぼが乾いていません。コンバインは、刈り取りから脱穀まで一貫してやってくれる有り難い機械ですが、ぬかるみには勝てません。

 5日から再び雨。やがて台風18号接近のニュース。8日から9日にかけて近畿地方を通る可能性が高いとのこと。台風の雨で田んぼは更にぬかるみ、乾くのを待っていれば上旬には刈り取りができないことになります。それどころか、稲が倒れてしまえば数日で稲穂に米が付いたままで発芽し、根が伸び始めます。

刈り取られる稲 果たして、5日から降り続いた雨は7日夕方に勢いを強め、台風18号の日本列島上陸が避けられない情勢になりました。強風と雨に備えて戸締まりをし、すだれを巻き上げ台風通過を待ちます。翌8日は会社を休みにしました。

 8日早朝のニュース。台風は知多半島に上陸し信州を北上しています。台風は速度を上げているらしく、ここ奈良では雨も風も収まってきました。田んぼを見回りましたが、稲は一本も倒れていませんでした。疎らに植えた成果に違いありません。根本に日光が当たり、根が地中深く張って倒れにくくなるのです。午後は雨が上がりました。風がありますので、稲が乾き始めます。

 9日。朝から曇り。10時には日が射し始め、雲が多いながらも風がそこそこあり、稲も土もどんどん乾いて行きます。

 「やってみるか。」

脱穀した米が入る袋を取り出す 水が切れた田んぼの中央からコンバインで刈り始めました。意外にも土は固く締まり、コンバインは軽快に進みます。これなら行けます。夕方日が落ちるまで、コンバインは休むことなく活躍。結局3反分の刈り取りを終えました。

 10日。朝から晴れ。多少雲はありますが良い情況です。朝露が乾き始める9時から刈り始め、残る3反の刈り取りを午後3時には終えることができました。

 今年は、コンバインが一度も止まることなく順調でした。刈った米はブルーシートに拡げ自然乾燥を3,4日。それを酒米の業者さんに送り届けて、乾燥、籾すり、調湿、それに精米をしてもらいます。精米歩合は60%。この米は、「奈良吟」の原料米として使います。

 酒蔵では、醸造計画が決まり、酒造りの準備が始まっています。米など原料の手配、資材の手配も終えました。最初の仕込みは10月24日。いよいよ酒造りのシーズンです。

写真上:快調に進むコンバイン
写真中:刈り取られる稲
写真下:脱穀した米が入る袋を取り出す

2009年10月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人