新年を迎えて【酒蔵便りvol.74】

<蔵の様子>

新しく掛け替えられた中谷酒造の杉玉 年が明けると、全国新酒鑑評会に出品する大吟醸の酒造りが始まります。
 兵庫県産山田錦を精米歩合35%にまで磨き込み、細心の注意を払って各作業を行います。
 先ずは、麹作り。そして酒母と呼ばれる酵母の培養液作りです。清酒造りには二種類の微生物を使用します。一つは麹菌、もう一つは酵母菌です。
 麹菌は、二種類。酵母菌も二種類。その組み合わせを変えて三本のタンクに仕込みます。
 出来上がった三種類の原酒から最も良いものを選んで出品します。

35%まで精米され、洗米を待つ山田錦米 1月5日は、麹米の洗米。洗米とは言っても35%まで磨かれた米に糠(ぬか)の成分はほとんどありませんので、水を正確に目標の吸水率28%まで吸わせることが重要です。水を吸いすぎても、足りなくても麹の生育に影響します。
 試験吸水を行い、何分何秒で予定している吸水率に達するか割り出します。米は、正確に10kgずつ計量して網袋に入れ、ストップウォッチを使ってその秒数だけ水に漬けてから引き上げ、水切りを行います。
 翌日は、米を蒸して28℃まで冷ましてから麹菌の胞子を振りかけます。麹室で保温し、菌糸を成長させます。菌糸の成長に伴い、熱を出しますので7日は温度を調節しながら表面を乾かし、米粒の内部に菌糸を伸びさせます。目標の最高温度に達したら、それ以上温度が上がらないように管理を続けます。8日は麹の出来具合を見ながら室(むろ)から出す時期を探ります。栗のような甘い香りが充実したら完成。外に出して自然の冷気で冷まし、表面を乾燥させます。麹作りは4日間の真剣勝負です。
 気の抜けない日々が続きます。

写真上:新しく掛け替えられた中谷酒造の杉玉
写真下:35%まで精米され、洗米を待つ山田錦米

2011年1月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人