甑倒し(こしきだおし)【酒蔵便りvol.88】

<蔵の様子>

 3月15日、東大寺二月堂のお水取りが満行。例年なら大和路に本格的な春が訪れるところですが、18日早朝に中国河北で季節外れの雪。その寒波が一日遅れで日本列島に到達。春は遅れてやって来ました。庭の遅咲きの梅はようやく満開。月末には盛りを過ぎました。

 3月30日、予定より一日早く、今シーズン、即ち平成23醸造年度最後のタンクの仕込み を終えました。
米を蒸す作業はこの日をもって終了です。この日を「甑倒し(こしきだおし)」と言います。昔は、大釜の上に甑(こしき)と呼ばれる円筒形の容器を載せ、その中に米を入れて蒸しました。最後の米を蒸した後、甑を外して釜を掃除します。甑を外すことを「こしきだおし」と呼んだのが語源です。
 この日は、酒造りの無事に感謝し、蔵人の慰労を兼ねて祝宴を張ります。昔ながらの嬉しい行事です。

この号終わり

写真1:放冷機入口(甑から蒸米が落ちる部分)
写真2:明るい陽光と盛りを過ぎた梅

2012年4月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人