醸造祈願、生酒の出荷、西部戦線の情景1【酒蔵便りvol.180】

<酒蔵の様子>

 今シーズン最初に仕込んだタンクの醪は、11月13日に搾りました。早速、本ぎんシリーズの生酒の瓶詰を行いました。やや澱を含んでおり、フレッシュな風味がたっぷり詰まっています。翌週は、18日と20日に包装の集中作業を行いました。そして本醸造の搾りたて生原酒、濁り酒も瓶詰めを行い、出荷が始まりました。
 11月最後の週は、今シーズン最初の吟醸酒を搾り、その生酒の瓶詰と包装作業に追われました。年末まで、酒造りと出荷作業に多忙な日々を過ごします。

 20日午後は、eo光テレビ番組「原田伸郎のこの街ええなぁ」の取材を受けました。原田伸郎と言えば、筆者が中学生の頃、あのねのねという二人組で「赤とんぼの唄」という曲を歌っていたことが思い出されます。
 この取材の「ええなぁ」の街は大和郡山市。郡山城址で上田市長との会話を収録した後、弊社に来られました。米蔵で郡山で栽培された山田錦米を原料とする二種類の清酒、こをろこをろと三日踊山乃かみ酵母を利き酒しながらの会話を収録されました。来年1月1日から14日までリピート放送されるそうです。是非ご覧ください。
 インターネット動画配信
 https://eonet.jp/eohikari_ch/program/konomachi/

 11月28日は醸造祈願。賣太神社(めたじんじゃ)から藤本宮司を迎えました。毎年この時期に仕込む正月用しぼりたて生原酒に合わせて醸造の安全並びに旨い酒が醸せるよう祈っていただきました。
 同日、新しい杉玉が三輪神社から届き、翌日朝日が昇った時に付け替えました。乾燥して褐色になった去年のものに比べるとずっしりと重さを感じます。緑の杉の葉はまだ水気をたくさん含んでおり、朝日に輝きます。

<模型で作る情景>

 昨年、白米蔵を整理していますと筆者が高校一、二年生の時に作った模型作品群を発見しました。7つの戦車と6つの軍用車両、それに兵の人形です。それらを今年になって展示ケースに入れ、結局8つの情景作品に仕上げました。それに加えて新たに発見された3両の戦車と兵で3つの情景作品もできました。
 今回は、新たに発見された三両の内の最後。独Ⅳ号駆逐戦車を使った西部戦線の情景1「待ち伏せ」です。
 米軍は、1943年春、独軍を北アフリカから駆逐した後、9月にシチリア島に上陸。そしてイタリア半島の戦いに移ります。ドイツの劣勢は明らかです。米軍を中心とした連合国軍は翌年6月、フランス北部ノルマンディー海岸に大上陸作戦を敢行、破竹の勢いで進撃し8月にパリを解放しました。後退した独軍は、制空権も失い、米軍を待ち伏せ攻撃するしかない状況に追い込まれます。そんな時期の情景です。
 フランス東部の小さな町。その主要道路に面した庭先に戦車が身を潜め、進撃してくる米軍戦車を待ち受けます。迷彩塗装は、砂色の上に赤茶色の太い縞、それに緑の斑点。うまくレンガ塀や柵、雑草の生えた建物際の景観に溶け込んでいます。
 この戦車は砲塔がなく、拡張された車体上部から対戦車砲が突き出ています。既に4両の敵戦車を撃破した印に砲身先端近くには白線の帯が4本描かれています。
 極めて低いシルエットで、傾斜鋼板。敵弾に当たりにくく、当たっても弾き飛ばすことができます。天敵は航空機。戦車の上面装甲は薄く、エンジン冷却のため一部は通気用に開いていますから機銃弾だけでも炎上します。
 この付近は砲兵と歩兵の混合陣地。砲兵将校が双眼鏡で前方をうかがいます。将校のズボンは、パリに長く駐屯していたせいか大戦末期の制服ではなく、中期まで使われた乗馬ズボンと足にピッタリ合った長靴です。奥の壁際では歩兵が合図を送っています。

 

 展示にあたって手を加えた点は次の通り。

  • 車体番号のシールが42年の歳月で黄ばみ、それが目立ちましたので、シールのエッジ部分に車体と同色を塗り、境目をぼかしました。
  • 新たに発見された人形群の中から二体の兵を選び配置しました。奥の歩兵の右手は合図をしているような手に付け替えました。
  • パリを示す道路標識、柵、柵に立てかけた荷車の車輪は、部品が出てきましたので塗装して設置しました。
  • レンガ塀は、石膏ボードを切って、市販の模型用レンガシートを貼りました。テキスチャー塗料で草を加えました。
  • 地面は紙やすり、道路は市販の模型用石畳シートを貼りました。

 この戦車の低い楔形のシルエットは、戦いで研ぎ澄まされた結果生まれたものです。洗練されて格好よく、見惚れます。

写真1:新しい杉玉
写真2:藤本宮司による祈祷
写真3:待ち伏せ(横から撮影)
写真4:待ち伏せ(前から撮影)
写真5:待ち伏せ(後ろから撮影)

2019年12月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人