第5話 二酸化炭素と温暖化【アラカン社長の徒然草vol.7】

 COP(Conference of Parties)は、国連気候変動枠組条約(UNFCC)を受けて設置された会議で、年に一度、各国の環境に関わる省庁の大臣が集まり温暖化対策について話し合います。第三回(COP3)は1997年に京都で開かれ、温室効果ガスを二酸化炭素として、その排出量の削減に向けて各国に具体的な取り組みを課した「京都議定書」を採択しました。

 2009年はCOP15。12月下旬、デンマークの首都コペンハーゲンで開かれました。

 「もし世界が、京都議定書後の新たな条約を決定したいと願うのであれば、2009年が最後のチャンスです。 人為的に作り出された温室効果ガスによる気候への影響を最小限にとどめ、未来の世代へと受け継ぐためにも、地球規模の気候変動対策が必要なのです。」(デンマーク大使館HPより)

 結果は、皆さんご存じの通り空しいものに終わりました。その理由に迫ります。

1.温室効果と水蒸気

都市気候にうだる獅子(南京駅) 「日本人は環境問題になぜだまされるのか」(PHP新書)という過激な題名の本が目にとまり一読しました。著者は工学博士(東京大学)武田邦彦氏です。

 太陽から地球に届く光を100とすれば、30が大気に反射されて届かず、23が大気に吸収され、地表には47届きます。届いた47の内、30は水の蒸発や伝熱で大気に吸収され、6は宇宙へ放射、地表を暖める光は残る11です。地表を暖めた熱は大気に吸収されて地表の温度バランスが取れます。武田氏は、大気の温室効果によってこの熱が地表に留められるとしても、温室効果をもたらすのは二酸化炭素の25倍もある水蒸気が主なもので、二酸化炭素の関わる比率は極めて小さいことを指摘しています。

2.気温と二酸化炭素

 空気中の二酸化炭素の増加と気温上昇に相関関係はあるのでしょうか。同著の中で武田氏は、東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センターが行った南極の氷床コアの分析を示しています。それは現在同様二酸化炭素濃度が300ppm程度に上がった34万年前、25万年前、13万年前にも気温が高かったということです。その理由は、「CO2の多くは海水に溶けていて、海水温が上がるとCO2の溶解度が下がって空気中に出てきますから、「気温が上がったから大気中のCO2が増えた」という結論は理にかなっています」。そして気温が上がる原因として、太陽活動と気温が連動していることを示しています。

 以上をまとめますと、太陽活動が活発になると地上に届く光が増えて気温が上がり、その結果海水中に溶けていた二酸化炭素が大気中に放出され、空気中の二酸化炭素が増えるということになります。

3.温暖化していない

雪を眺める猫(中谷家) 武田氏によると、地球の気温が上がっているというデータはないそうです。百年、或いは数十年といった長期にわたって継続して気温観測をしている場所は、ほとんど都市気候の影響を受けており、地球温暖化の判断には使えません。数少ない都市化されていない観測点では気温はほとんど変化していません。要するに我々は、都市もしくは都市近郊に集中して住み、冬の暖房と夏の冷房、自動車の使用などで大量の熱を放出しており、それが局地的な気温を高め、「地球温暖化」を実感しているという訳です。

 NHKはじめマスコミは、南極大陸周縁部の氷が溶ける映像を流して南極の気温が上がっているというイメージを作り出していますが、NASA(アメリカ航空宇宙局)の1960年から2000年のデータでは上下を繰り返しながら徐々に気温が下がっていることを示しています。

 即ち、地球の気温が上がっている証拠はなく、そもそも我々が排出する二酸化炭素と地球の気温の関係を論ずる前提がないということです。

4.暴かれた事実

 田中宇の「国際ニュース解説」は、主たるマスコミ関係者はもちろん、多くの知識人が読むことで知られています。無料版2009年12月2日には次のように書かれています。

 「11月18日、英国のイーストアングリア大学にある「気候研究所」(CRU)のサーバーがハッキングされ、1000通以上の電子メールや、プログラムのスクリプトなど電子文書類が、何者かによってネット上に公開された。その公開されたメールやデータを分析することにより、CRUなどの研究者たちが、温暖化人為説を根拠づけるため、さまざまな歪曲や論敵つぶしを展開してきたことが明らかになりつつある。

 データを暴露されたCRUは、英国で最も重視されている気候学の研究所で、英国気象庁の気候変動研究の多くを請け負い、世界各地の気温を測定・収集して平均気温を算出する世界の4つの研究所の一つである。CRUは、フィル・ジョーンズ所長(Phil Jones)やキース・ブリファ副所長(Keith Briffa)を筆頭に「人類が排出した二酸化炭素などによって地球は急速に温暖化している」という「人為温暖化説」を強く主張し「地球温暖化問題」を主導してきた国連の気候変動パネル(IPCC)を主導してきた。(中略)

 CRUの問題のメールに書かれている「トリック」とは、このネイチャー論文に書かれた、指標値を実測値を置き換えることで、指標値の低下傾向を消すことを意味している。木の年輪を使った指標値の気温は、北半球で、1960年代以降、寒冷化の傾向を示している。そのままでは地球温暖化の仮説を立証できないので、60代以降の分については実測値を使ってグラフを接ぎ木することで、地球が温暖化していることを示すグラフが作られた。(中略)

 処理の内容は、1904年から94年(データの最終年)までを5年区切りにして、その20個の各年の温度変化に対し、個別に数字(温度)を加算し、現在に近づくほど加算値を大きくしている。つまり、現在に近づくほど気温が上がったように、結果を歪曲している。1904−24年は加算なし、29−49年は若干の減算を行い、その後は再び加算に転じ、79年以降は2.6度(後で0.75を乗じているので実質1.95度)ずつ加算している。

 これは要するに、すでに指摘した1940年代の高温時期の山をなだらかにして今より気温が高い状態でなくすとともに、60年代から80年代以降にかけて温度が急上昇したように見えるグラフを作るための操作である。プログラムの作者自身が「非常に人為的(不自然)な補正」と注釈していることからも、温暖化人為説の証拠作りのため、データを歪曲したことがうかがえる。」

5.冷静な分析 

 1997年の京都議定書では、1990年を二酸化炭素の排出基準としましたので、それまでに既に省エネ化を遂げた日本は19%の削減義務を負いましたが、1990年以降に省エネ化を進めたEUは、削減ではなく増加が認められたことになりました。前著の武田氏作成の表によりますと、英国は5%、ドイツは11%です。ロシアは、38%もの増加が認められましたので、2004年に批准しました。一方、22%の削減が求められた米国は批准していませんし、25%の削減が求められたカナダは目標達成を断念しました。実質的に二酸化炭素削減義務を負うのは日本だけなのだそうです。

 日本では温暖化問題は「環境を守るため」ですが、欧州では「政治問題」と認識していることを武田氏は指摘しています。先進国では日本だけに削減の為の重いコストを負担させる。中国、インドなどの新興国、発展途上国ではこれから一人当たりの二酸化炭素排出量が増えますので、枠組みを設けることでその成長を阻害する。そういった政治的な意図があるというのです。

 田中宇氏も上記「国際ニュース解説」の中で、「欧米日のマスコミが、この件をほとんど報じていないのも異様で、地球温暖化問題が科学ではなく政治的プロパガンダであることを感じさせる」としています。

6.日本政府の隠された意図

 ハイブリッドカーが売れています。ハイブリッドカーは従来のガソリン車に比べて燃費効率が良いのは理解できます。しかし通常のガソリンエンジンに加えて電動モーターとバッテリーが必要です。これらを製造し、寿命が来てから廃棄するエネルギーコストを加えて計算すれば、二酸化炭素排出量にせよ、環境負荷にせよ、従来のガソリン車を超えるメリットはなさそうです。

 電気自動車もそうです。電気の6割は二酸化炭素を排出する火力発電で得られ、その発電効率は40%に過ぎず、その上送電ロスが5%あります。更にクルマに重いバッテリーを積んでエネルギー効率が良いはずがありません。とりわけバッテリーの廃棄は環境負荷が高そうです。

 しかし、ハイブリッドカーは爆発的に売れ始めました。エネルギーコストとは関係なく、ガソリン使用量は減ります。ガソリンは原油から作りますので乱高下する原油相場の影響を抑えることができます。日本の火力発電の燃料もほぼ100%海外に依存しています。省エネ家電の普及は燃料消費を減らします。その上、省エネ技術は新たなビジネスチャンスを生みます。日本政府の真意はこのあたりにありそうです。

 日本政府の意図通りに二酸化炭素排出量を抑えるとすると、鉄鋼など二酸化炭素排出量の多い素材産業は海外に移転しなければなりません。日本の産業構造を転換させるこのような重大問題は、正しい情報を国民に与えて、国民の議論を経てから決めてもらいたいものです。

終わり

写真上:都市気候にうだる獅子(南京駅)
写真下:雪を眺める猫(中谷家)

2010年2月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人

立春【酒蔵便りvol.63】

 新年早々訪れた寒波が終わったと思ったら、今月に入るなり再び寒波がやってきました。しかし、晴れ渡る日の太陽は春の力強さを取り戻しつつあります。

出品用大吟醸の発酵もろみ 今年は全国新酒鑑評会に向けて1月に3本の大吟醸を仕込みました。何れか一番良いものを出品します。米を35%まで磨いていますので、吸水も早く、米洗いにも神経を使います。一つ一つの作業を丁寧にこなして仕込み作業を終えますと、次は発酵管理です。

  毎日もろみの泡の立ち具合を見て、櫂を入れてもろみの堅さをつかみ、香りをかぎ、濾液を採取して糖度、酸度、アルコール度数を分析します。1月から2月にかけては、気温が低く安定しますので、厳密な発酵温度管理が要求される大吟醸酒造りには最適です。

<今月の話題> 立春と旧正月

寒さに耐えて咲く椿と二宮金次郎像(中谷家)  2月4日は立春。春が近づいて参りました。中国のカレンダーには旧暦(太陰暦)が併記されており、季節の行事は旧暦を基準とします。中国のみならず、日本以外の東アジア、東南アジアでは正月は旧暦で祝います。今年の旧暦1月1日は、2月14日です。即ち、旧暦では立春が12月に来てしまい、新年には立春がありません。迷信で、「立春(春)のない年は結婚に不向き」と言う人がいますがどうでしょうか。

 一年は12ヶ月ですが、この「月」は新月から月が満ちて満月になり、欠けていって新月に戻る周期を数える単位に他なりません。この周期は約29.5日です。29日の小の月が6回、30日の大の月が6回、合計354日で一年です。

  一方太陽の運行は365.2425日ですから約11日足りません。これを繰り返しますと季節と月がずれていきますので、約3年に一度、一年を13ヶ月にして調整します。増えた月を閏月(うるうづき)と言います。2009年には5月の後に閏5月が入り、13ヶ月になりました。これが原因で、今年の旧正月は遅くなりました。

 立春は二十四節気の一つで、正確に季節を知る為の工夫です。春分を起点として太陽の運行を基に一年を24等分して名前を付けたものが二十四節気です。太陽の運行を基準にしていますので、太陽暦での日付は毎年2月4日頃と決まっています。従って、旧正月が遅くなった年は、立春の後になるのです。

  旧暦では、二十四節気の雨水(うすい。雪が雨に変わる頃)を含む月を1月とします。旧暦1月は30日あり、この30日の何れかに雨水が含まれます。雨水は立春の15日後ですから、雨水が1月16日以降であれば立春が1月に含まれます。その確率を大ざっぱに計算すれば30分の15、即ち二分の一です。ということで、結婚を延期するまでのことはなさそうです。

写真上:出品用大吟醸の発酵もろみ
写真下:寒さに耐えて咲く椿と二宮金次郎像(中谷家)

2010年2月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人