皆さん、こんばんは。六代目当主の中谷正人です。
連載の二十五回目。家飲みの楽しみを分かち合いましょう。
梅雨に入りました。過ごしにくい日々ですが、アジサイの涼やかな色に癒されます。先月始まった奈良盆地の田植えは終盤を迎えています。
夏が旬のズッキーニを今年も知人から頂戴しました。柔らかく優しい味わいを生かすべく、干したホタテ貝柱のスープをまとわせることにしました。
主役の酒
清酒 萬穣 大吟醸
本社で醸造をした最後の年の大吟醸が冷蔵倉庫に少し眠っています。これを合わせましょう。圧搾直後に瓶詰めし、打栓した後に自動瓶燗機を通していますので酒には発酵過程で生じた炭酸ガスが残っています。王冠の外装を外して力を掛けると、ポンと音がして栓が飛びました。4年熟成ですが味に期待が持てます。
アテ
ズッキーニの炒め煮
昨年は中国の家庭料理でよく食べられる干しエビとの組み合わせでしたが、今回はホタテの貝柱の乾物、それに豚肉も少し加えます。
一つだけ事前準備が必要です。それは3時間ほど前までに貝柱乾物4個ほどを1カップの水で戻しておくことです。
さて調理に掛かります。ニンニクスライスと共に豚バラ肉を炒め、火が通ったら黒コショウを振り、ズッキーニ1本を適当に切ったもの、ブナシメジ少々を入れて1~2分炒めます。貝柱と戻し汁を加えて2~3分煮ます。味付けは醤油のみ。片栗粉もしくは葛粉でトロミを付ければ出来上がり。赤唐辛子の輪切りを加えると見た目が華やかです。
晩餐
今宵も家内と一緒に晩酌(ばんしゃく)です。
先ずは大吟醸。久々に夜光盃というシルクロードのエリアでできた玉製の盃を選びました。玉は極限近くまで薄く、皿が透けて見えます。唇への当たりは軽やかで、それが酒の味も高めてくれます。吟醸のフルーティーな風味が口いっぱいに広がって、飲み下した後は綺麗に引いていきます。良い酒です。4年間の熟成で円やかさが増しているのかもしれません。そしてズッキーニ。狙い通りホタテの出汁をまとっているのみならず中に沁みているようです。旨い!。
そして酒。爽やかです。ズッキーニに豚肉を添えて一口。豚にも優しいホタテの出汁が沁みています。そして酒。貝柱だけを食べ、そして酒。当然旨い!。今宵も満足です。
ではまた次回。