酒造りの始まりと稲刈り【酒蔵便りvol.94】

<蔵の様子>

最初の蒸米(中谷酒造10月2日) 10月1日、今シーズン最初の麹米を洗いました。本醸造酒の酒造りです。
 長かった残暑もいよいよ終わり。朝夕には肌寒い日もみられるようになりました。
 翌日は、その米を蒸します。蒸し上がった米を30℃まで冷ましたところで種付け。麹の胞子を振りかけ、混ぜます。30℃に保たれた麹室に引き込み、床(とこ)と呼ばれる箱の中に布で包み込みます。
 10月3日朝、既に胞子は発芽しています。菌糸が生育して米粒の表面の光沢がなくなり、ところどころ白くなっています。それを切り返し機に入れて一粒ずつになるようバラバラにほぐし、ハクヨー吟醸用多段製麹機の5段の棚に薄く盛ります。
 菌糸が成長するにつれ、麹米は熱を帯び、その成長に合わせて温度を上げ、或いは抑え、一定の成長段階に達した後は、温度を保ちながら除湿して表面を乾かします。菌糸は乾燥した表面よりも適度な湿度のある米粒の中に深く入り込み、理想の麹になります。弊社では、本醸造酒もこのような吟醸造り同様の麹に仕上げます。
 10月4日朝、麹のできあがりです。栗のような甘い香りがします。麹室から外に出して、薄く拡げて冷まし、乾燥を待ちます。
 10月6日は、最初のタンクの仕込み(原料の投入)作業です。これから来年の春まで酒造りが続きます。
 今年の新酒、「しぼりたて原酒」と「しぼりたて濁り酒」は昨年より早く、11月初旬に出荷できる見込みです。暫しお待ち下さい。

<今月の話題> 稲刈り

稲刈り(中谷酒造管理田10月5日) 台風で稲が一部倒れてしまいました。穂先が地面に触れているところがあります。放置すると、発芽して根が出始めます。成熟には一週間ほど早いのですが、少しでも早く刈りたいところです。台風一過から5日目、10月5日から稲刈りを始めました。

 コンバインという刈り取りと脱穀を同時にしてくれる便利な機械で刈るのですが、意外と労力が掛かります。
 先ずは雑草抜き。田植え直後の除草剤だけ農薬を使う減農薬栽培ですので、豆科の太い雑草などが生え、それがコンバインの故障原因になります。コンバインの直前を歩いて、人力で抜きます。
軒下に干された米 それに力仕事。コンバインの周回毎に貯まった収穫袋を外し、軽トラックに積んでいきます。収穫した米は酒蔵に運び、屋根のあるスペースを利用してブルーシートの上に拡げ、天日で数日自然乾燥をさせます。熊手を使って時々米をかき混ぜ、乾燥を助けます。
 稲刈りは、気が重くなる程労力と手間が掛かります。しかし、秋晴れの、一年で一番過ごしやすい気候の下での作業。稔りの収穫は嬉しいものです。

 天気予報では、一週間続けて晴れ。田の地面も適度に固まり、刈り時です。初日は、酒蔵に一番近いところから始め二枚目の途中まで約2反。一部倒れている所がありましたが、順調に終了。
 二日目、6日は四枚目まで。四枚目は倒れている稲が多く、最後は手刈りです。その夜は雨。結構な量が降りましたので、翌日の稲刈りができないかもしれないと気を揉みましたが、夜半から晴れ。
 三日目、7日は朝から快晴。稲穂が乾くのを待って10時過ぎからスタート。残る二枚の田は台風の影響を受けておらず、順調に終えることができました。7反半、全て終了です。

 大和郡山市の耕作放棄農地で市の農業委員会の皆様が栽培して下さった山田錦も刈り取りを終えました。委託農家で栽培いただいたものも収穫を終えました。12日には紙袋に詰めて、精米業者に送ります。精米業者では、適度な湿度に調整し、籾摺り、そして酒用に精米歩合60%まで精米して下さいます。
 この米は、「奈良吟」、「こをろこをろ」、そして「吟生」になります。

写真1:最初の蒸米(中谷酒造10月2日)
写真2:稲刈り(中谷酒造管理田10月5日)
写真3:軒下に干された米

2012年10月
中谷酒造(株)代表取締役  中谷正人