大吟醸の酒造りと初詣 vol.50

投稿日:2009年1月09日

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

<酒蔵の様子>

 怒濤のような年末出荷を無事終了。年間で一番多忙な時期を無事乗り切りつつあります。

 発酵温度の管理をやりやすい一番寒い時期を利用して一番良い酒を仕込みます。今月は、いよいよ全国新酒監評会出品用大吟醸の酒造りが始まります。仕込み本数は2本です。続けて精米歩合35%の純米大吟醸酒、そして昨年手塩に掛けて育てた奈良県産山田錦で醸す純米吟醸「奈良吟」です。

 一番神経を使う時期を迎え、酒蔵には緊張感が満ちています。

<今月のテーマ> 初詣

 今年は息子が大学受験。合格祈願を兼ねて東大寺に詣でました。一文字取ると受験する大学名になる洒落も掛けています。テレビで除夜の鐘が流れ始めますといざ出発。自転車でJR郡山駅、一駅乗って奈良駅で下車。タクシーで大仏殿の横に乗り付けました。

 人出が始まったばかりです。先頭集団で入りますとそれほどの混雑もなく、大仏様の正面に向かいます。巨大な大仏と、更に巨大な木造建築にいつも以上に感動し、手を合わせました。時計回りに大仏様を一周し、合格の願いを書いた絵馬を奉納し帰途につきました。

 ご想像通り真っ直ぐ帰る訳もなく、土産物屋に寄り道をしておでんを肴に燗酒を一杯。良い気持ちになってバス停に向かうと市内循環バスが入って来ました。乗車5分で奈良駅、直ぐの発車で郡山駅下車。帰宅は午前2時過ぎ。有名な寺社が身近にある奈良に住まうありがたさが身にしみます。

松尾大社大鳥居

 合格祈願はさておき、我々造り酒屋が最も大切にしているのは京都の松尾大社です。日本に最新の文化や技術をもたらした秦氏の神社です。「古来、開拓、治水、土木、建築、商業、文化、寿命、交通、安産の守護神として仰がれ、特に醸造の祖神として格別な尊敬を受け」(松尾大社説明文より)てきました。来年は、こちらに初詣に行かねばなりません。

 さて、初詣の習慣は明治以降のものです。正月を祝う起源は、ご先祖様にお参りをすることと年神様を家にお迎えすることです。ですから、正月には墓参りをしました。今でもそのような地域が日本各地にあるようです。

 中谷家では正月ではなく大晦日に墓参りを済ませてから年神様を迎え、寺社に初詣に出かけます。皆さんのお宅では如何でしょうか。何れにせよ、今年一年、息災でありたいものです。皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

写真:松尾大社大鳥居