曼荼羅展のお知らせ vol.75

投稿日:2011年2月04日

<蔵の様子>

 先月、大吟醸酒3本の仕込作業を終了。もろみ管理に入っています。

 安定した大陸高気圧は、日本海側に雪をもたらし続けています。

 ここ大和路は雪雲が入り込んだり、太陽が顔をのぞかせたり。しかし雪が降るには至らず、乾燥した日々が続いています。日射しは少しずつ強さを増し、春を感じさせる明るさが戻って参りました。

 今月は、輸出用の吟醸酒と純米吟醸酒の仕込が続きます。

<今月の話題>

チベット仏教曼荼羅百選パンフレット

大鳥博敏氏所蔵「チベット仏教曼荼羅百選」 展示会のお知らせ
3月3日(木曜)~13日(日曜)
朝10時から夕方5時まで。入場無料
やまと郡山城ホール(近鉄郡山駅から徒歩10分)

 弊社・中谷酒造は、大鳥氏の貴重なコレクションを一人でも多くの人に見ていただき、仏教美術に触れていただきたい考え、この度の展示会に協力しています。

 以下は、大鳥氏から寄せられたメッセージです。

 曼荼羅は、仏教、とりわけ密教において悟りの世界を象徴的に表したもので、寺院、家庭などの壁に掛け、信仰の対象とされるものです。

 チベットは仏教が大層盛んで、曼荼羅は現在に至るまで作られ、各家庭にも祀られています。曼荼羅は、一定年限の修行を経た高僧のみが製作を許され、布の上に一定の決まりに従って仏や象徴を配置し、精密に描かれた大変有り難いものです。

 中華人民共和国成立後、寺院や僧侶への抑圧が始まり、1956年から「チベット動乱」と呼ばれる抵抗運動が起こりましたが制圧されました。その過程でダライラマ14世がインドに亡命。チベットには、1966年に西蔵自治区人民政府が設置されました。

 同年、文化大革命が始まり紅衛兵と呼ばれる中・高生徒達が中国全土の宗教施設を破壊しました。チベットにも紅衛兵がなだれ込み、寺院を破壊し、各家庭に祀られていた曼荼羅を焼きました。

 私、大鳥博敏(おうちょうひろとし)は昭和6年(1931)、大阪に生まれました。戦時中、本家のある広島に疎開しましたが被爆。後に結婚した家内も広島で被爆して生き延びましたので、夫婦共に幸運に恵まれたことになります。

 戦後暫くして大阪府八尾市に会社を興し、その経営に携わってきました。あるご縁で日中国交回復前から日中貿易に携わり、チベットに度々出かけました。おそらくその頃はチベットに入る唯一の日本人だったことでしょう。

 私は、破壊された寺院の惨状に心を痛め、修復のお役に立てればと寄付をしました。すると地面に埋めて隠し、焼却を免れた貴重な曼荼羅をお礼にと差し出されたのです。こうして私の曼荼羅コレクションが始まりました。

 この度は、百数十年前に製作された貴重なものから現代に作られた色彩の鮮やかなものまで百点近くのものを選びました。多くの方々に、仏教美術の粋を味わっていただければ何よりの幸せです。

平成23年2月吉日  大鳥博敏

写真:チベット仏教曼荼羅百選パンフレット