酒粕料理(粕汁・甘酒)の作り方 vol.84

投稿日:2011年12月20日

<蔵の様子>

 今年の秋は比較的暖かい日が続いたのですが、11月19日に低気圧が去った後、大陸から寒波がやってきました。

 朝、屋根瓦に霜が降り、日が昇ると溶けてポタポタと流れ落ちます。冬の到来です。

 早朝、米を蒸す湯気が上がります。蒸した米を放冷機の上に拡げて冷まし、種麹(たねこうじ)をふります。29℃で麹室に運び込み、布で包み込みます。

 続いて仕込作業。蒸し上がった米は決められた温度まで冷まされ、仕込タンクにホースを通って運ばれていきます。酒蔵は活気に満ちています。

<今月の話題> 酒粕料理のコツ

鍋と粕を用意

 酒粕の出荷が始まりました。酒粕を使った料理といえば、粕汁と石狩鍋が代表格。酒粕を食べると、日本酒を飲んだのと同じく体が温まり、その体温が二、三時間持続します。

 今月は粕料理のコツをお知らせしましょう。それは「糖化」。酒造りの過程では、麹に含まれる糖化酵素で蒸米(むしまい)の澱粉を糖化しています。これを料理に応用です。

3倍の水を加えて55℃に加熱

 鍋に酒粕と、その3倍くらいの水を入れ火に掛けます。

蓋をして30分から1時間糖化

 温度計で測って55度になったら火を止め、蓋をします。60℃を超えると糖化酵素が活性を失いますので、55度が目安です。短くても30分、可能であれば1時間置いておくと糖化が進みます。

かき混ぜて溶かせば糖化の完成

 蓋を開けてかき混ぜるとできあがり。溶けていない場合は、火に掛けて溶けるまでかきまぜて下さい。溶けた粕は、料理に必要な量だけ加えて使用します。

粕汁具材例(鮭は、皮を焼いています)

 粕汁なら、出し汁(注)に鮭、油揚げ、大根、人参、ゴボウなどの野菜を加えて一煮立ちさせればできあがりです。味付けは塩が基本ですが、薄口醤油は有効な隠し味になります。

 (注:粕汁6人前の場合、酒粕200gを600ccの水で糖化したものに出し汁も600cc。出し汁に代えて水を使う場合は、豚の細切れ肉を入れ、出しの代わりにします)

 甘酒を作る場合は、糖化したものに適度に水を加えて煮立て、お好みの量の砂糖を加えます。

 料理にせよ、甘酒にせよ、アルコールが苦手な方は15分も煮ればアルコールが飛びます。

粕汁

 鍋や汁物で温まり、燗酒を合わせますとダブルの効果で早く酔いがまわり、飲み過ぎることもありません。暖かく健康に冬を乗り切りたいものです。

 搾りたて生酒の出荷も始まっています。

この号終わり

写真1:鍋と粕を用意
写真2:3倍の水を加えて55℃に加熱
写真3:蓋をして30分から1時間糖化
写真4:かき混ぜて溶かせば糖化の完成
写真5:粕汁具材例(鮭は、皮を焼いています)
写真6:粕汁