皆造、桜、北アフリカ戦線の情景 vol.172

投稿日:2019年4月05日

<酒蔵の様子>

中谷酒造駐車場の桜(4月5日撮影)

 3月19日は最後のもろみを搾りました。今期の全ての酒はできあがり。この日を皆造(かいぞう。即ち「みなつくる」)と言い、慰労の宴席を設けます。翌20日に酒造りに関わった者のみならず全従業員参加で行いました。同日は、3月下旬の歓送会が開かれる時期でもありいつもの店は満席でした。

 その後は片付けが続きました。圧搾機の分解洗浄と袋洗いが主なものです。

 火入れと呼ばれる貯蔵の為の低温殺菌も順次行っています。濾過をしたあと、60度に加熱することで雑菌や酵母菌を殺し、酵素の働きを止めます。こうして熟成の過程に入り、タンクで熟成させる酒は、夏を越えてから徐々に瓶詰め、出荷されていきます。

 3月末日近くになって、桜名所100選の郡山城址の桜は咲き始めましたが寒の戻りがあり、一週間後の週末に満開を迎えました。中谷酒造駐車場の桜も咲き誇り、酒蔵は春のすばらしさに包まれました。

<模型で作る情景>

展示ケース

 今回は、「燃料切れ」。1942年春の北アフリカ戦線。黒っぽい砂利で覆われた岩石砂漠。燃料切れで立ち往生した英国軽戦車をドイツアフリカ軍団の偵察隊が発見したという設定です。この軽戦車は、米国製のM3スチュアート。車体は垂直の鋼板で構成され、溶接ではなくリベット留めされており、古いタイプの戦車です。第二次世界大戦初期に米国から英国に供与され、偵察任務などに使われました。キャタピラー上部を覆うサイドスカートは自作したことを思い出しました。英軍らしい直線迷彩塗装もよくできています。ヘッドライトにはヘルメットが被せられています。レンズが太陽光を反射して発見されるのを避ける為です。

 対するドイツ軍は、四輪装甲偵察車Sd.Kfz.223フンクワーゲンと四輪駆動軽車両キューベルワーゲン。フンクワーゲンは、上部のアンテナが特徴的です。傾斜した鋼板を溶接した車体。ドイツの兵器が進んでいたことが解ります。田宮模型(昔はこのように漢字表記でした)の設計図に忠実に組み立てたものです。キューベルワーゲンは、右側扉を開け放った状態に改造され、機関銃を設置し、銃を操作する兵士が載せられています。

燃料切れ(英側から撮影)

燃料切れ(独側から撮影)

 この三車両の組み合わせは、手を挙げた英国戦車兵と機銃を構えるドイツ兵を見た瞬間に43年前、高校一年の私が想定したであろう情景が浮かんできましたので、そのまま配置することにしました。

展示にあたって手を加えた点は次の通り。
・キューベルワーゲンの前輪を切り離し、角度を付けて瞬間接着剤で付け直しました。瞬間接着剤のおかげで、昔なら思いもよらない作業が簡単にできます。キャンバー角まで実車らしく付けることができました。
・荒い紙ヤスリが岩石砂漠のイメージにぴったりです。展示ケースの地面に選びました。情景に動きを出す為に、走行した痕跡を割り箸をこすりつけて描きました。キューベルワーゲンの内輪差を表す為に直径の違う大皿と小皿を紙ヤスリに被せ、その外縁に沿って割り箸をこすりつけました。
・つや消しの赤茶色を薄めて、兵士の日焼けを塗りました。

 作業自体は簡単ですが、タイヤ痕で動きや緊迫感を表現する方法を考えつくのに時間が掛かりました。楽しい時間を過ごせました。

写真1:中谷酒造駐車場の桜(4月5日撮影)
写真2:展示ケース
写真3:燃料切れ(英側から撮影)
写真4:燃料切れ(独側から撮影)